拡大する写真・図版近寄ってきた虎を少し怖がりながら見る子ども=2025年1月1日、岩手県大槌町の大槌稲荷神社、東野真和撮影

1月1~2日

 岩手県大槌町周辺の初日の出はこの数年、海に雲がかかって水平線から出てくれない。

 それでも、私を含め多くの人が海岸に行き、寒さに震えながら待ち、拝む。

拡大する写真・図版雲の上から顔を出した朝日を見る夫婦=2025年1月1日午前7時14分、岩手県大槌町の浪板海岸、東野真和撮影

 日が昇ると、三つの神社に続々と郷土芸能団体が登場し、奉納の舞いを繰り広げる。

 虎舞や神楽などを目の前で見られて、都会のように参拝に行列を作ることもない。

 ぜいたくな時間だ。

拡大する写真・図版境内で披露された臼沢鹿子踊=2025年1月1日、岩手県大槌町の小鎚神社、東野真和撮影

       ◇

 年末年始、信心深い三陸沿岸の人たちの行事は、他にもある。

 海の近くまで山が迫る地形のせいか、山の神や海の神をまつるほこらが無数にある。

 山主や漁師ら住民たちがこしらえ、それぞれに拝み、守っている。

 1日朝、大槌町寺野地区にあるほこらに参拝する小川勝己さん(65)に同行した。

 小川さんが岩だらけの沢筋を慣れた足取りで上るのを、必死で追いかける。

 すると、100メートルほどし…

この記事は有料記事です。残り1409文字
ベーシックコース会員は会員記事が月50本まで読めます
続きを読む
現在までの記事閲覧数はお客様サポートで確認できます
この記事は有料記事です。残り1409文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
この記事は有料記事です。残り1409文字有料会員になると続きをお読みいただけます。