(やっぺし)巨岩に鎮座する石像 15年ぶりの神事 祈りが育む力
東野真和
1月1~2日
岩手県大槌町周辺の初日の出はこの数年、海に雲がかかって水平線から出てくれない。
それでも、私を含め多くの人が海岸に行き、寒さに震えながら待ち、拝む。
日が昇ると、三つの神社に続々と郷土芸能団体が登場し、奉納の舞いを繰り広げる。
虎舞や神楽などを目の前で見られて、都会のように参拝に行列を作ることもない。
ぜいたくな時間だ。
◇
年末年始、信心深い三陸沿岸の人たちの行事は、他にもある。
海の近くまで山が迫る地形のせいか、山の神や海の神をまつるほこらが無数にある。
山主や漁師ら住民たちがこしらえ、それぞれに拝み、守っている。
1日朝、大槌町寺野地区にあるほこらに参拝する小川勝己さん(65)に同行した。
小川さんが岩だらけの沢筋を慣れた足取りで上るのを、必死で追いかける。
すると、100メートルほど…
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