脱炭素に原発、あなたの意見は? COP29で会った各国記者の葛藤

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バクー=福地慶太郎

 温暖化を止めるには原発が必要だ――。アゼルバイジャンで開かれた国連気候変動会議(COP29)では、各国の政府関係者がそう強調するのを聞いた。世界の人たちは、原発を歓迎しているのか。COP29を取材する海外の記者たちに話を聞いてみると、他のエネルギーとの比較や経済状況との間での迷いや葛藤が垣間見えた。

 記者(34)はCOPの取材は初めてで、普段は原子力規制委員会の取材を担当している。昨春までの3年間は福島県内で勤務し、東京電力福島第一原発事故で避難した人たちの話を聞いたり、同原発の敷地内で廃炉作業の様子を取材したりした。

 「非常に、非常に難しい問題だ」

 原発の必要性について質問すると、イタリアの雑誌編集者ダニエル・バーボンさん(52)はこう答えた。

 イタリアではチェルノブイリ原発事故の翌1987年と福島第一原発事故直後の2011年6月に行った国民投票の結果を踏まえ、原発の活用が認められていない。しかし、政府は脱炭素を進めるために原発の活用に前向きで、解禁を検討している。

 バーボンさんは、原発の建設に対する国民のコンセンサスは十分ではないと感じるという。「自分の家の近くに原発がほしい人はイタリアにいない。原子力は、国内で論争の的になっている」

 「君の意見は?」…

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この記事を書いた人
福地慶太郎
科学みらい部|原子力担当
専門・関心分野
原子力、福島第一原発事故、生命科学