第6回「責任の一端は国にある」生活保護率急減の自治体、桐生市以外にも

〈解説人語〉生活保護利用者が10年で半減、群馬県桐生市で何が起きたのか

 「桐生市の件を聞いてびっくりしました。あまりにも不適切です」

 生活保護利用者が10年間で半減した群馬県桐生市について問われ、武見敬三・厚生労働相(当時)はこう述べた。

 今年4月の参院厚生労働委員会で、保護費の分割による満額不支給や、いわゆる「水際作戦」が疑われる実態が次々と判明していることを問われたときのことだ。武見厚労相は、これまでも申請権侵害をしないよう国は自治体に周知してきたと強調した。

 しかし、生活保護行政への信頼を土台から崩しかねない一連の問題は、桐生市だけで起きた特異な現象なのか。

生活保護バッシング

 桐生市で生活保護利用者が急激に減り始めた時期は、2012年だった。

 当時は、08年のリーマン・ショック以降、利用者数が200万人を超えるなど全国的に利用者が急増。そして12年にはお笑い芸人の母親の生活保護利用が報じられたことをきっかけに、「生活保護バッシング」が起きた。

 不正受給がクローズアップさ…

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この記事を書いた人
清川卓史
編集委員|社会保障担当
専門・関心分野
認知症・介護、貧困、社会的孤立