角津栄一
群馬県安中市議会は9月定例会で、「選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書」を可決した。「改姓による不利益を案ずることなく結婚・出産し、老後も法的な家族として支え合える社会を実現する」ことにつながり、少子化対策の一助にもなるとして政府、国会に法制化を求めている。
意見書では、国立社会保障・人口問題研究所などによる世論調査(2023年)で、83・9%が選択的夫婦別姓に賛成だったことを指摘。最高裁判所が15年12月、夫婦同姓規定について合憲判断を示すとともに、選択的夫婦別姓制度について「合理性がないと断ずるものではない」と言及し、制度のありかたについて「国会で論ぜられ、判断されるべき」と促した点も指摘している。
そのうえで、平均初婚年齢が30歳前後となり、男女ともに生まれ持った氏名で信用、実績、資産を築いてから初婚を迎えるケースが多い現状を示し、男女ともに活躍できる社会実現のため、選択的夫婦別姓制度の法制化を要望している。
同市議会は21年には、「選択的夫婦別姓制度の法制化に向けた議論を求める意見書」を可決している。この意見書では、「望まない改姓によって自己同一性を喪失し、姓を維持するために法的な保障の少ない事実婚を選択せざるを得ない」などの問題点を指摘。国連の女子差別撤廃委員会が、日本政府に対して、女性が婚姻前の姓を保持する選択を可能にするよう再三にわたって民法改正を勧告している事実に触れている。
全国市議会議長会によると、選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書は、今年に入って福岡県宗像市、神奈川県平塚市、福岡県直方市でも可決されている。(角津栄一)