戦後のシャム猫ブームがもたらしたもの 一部猫種に人気集中で弊害も
戦後の日本でシャム猫ブームが起きていたのをご存じですか? サザエさんのオリジナル漫画をもとに、掲載当時の世相を振り返る朝日新聞土曜版beの連載「サザエさんをさがして」。今回は1962(昭和37)年3月掲載の漫画を題材に、60年代に起きたシャム猫ブームを取り上げました。純血種の猫に人気が集中することで起きる問題についても迫ります。
1匹2万5千円のシャム猫に驚く波平
裕福そうな男性と波平。男性から絵画や茶器を自慢げに紹介され、波平はいちいち驚きの表情を浮かべる。最後に登場したのがシャム猫。値段は2万5千円だったという。
1962(昭和37)年3月掲載の漫画だ。労働省(当時)の調査によれば、63年4月時点でサラリーマンの平均月収は2万5千円余り。いまでこそ、猫が給与1カ月分くらいの値段で売られていても不思議はない。
でも60年代にはまだ、純血種の猫を購入するという消費行動そのものが一般的ではなかった。波平が驚くのは無理もない。
ただ、このころの「サザエさん」にはたまにシャム猫が登場する。たとえば65年1月掲載の漫画では、磯野家の台所に「まいごのシャムねこ」があらわれる場面が描かれる。実は50年代後半から60年代にかけて、日本ではシャム猫ブームが起きていたのだ。
シャム猫を持ち込んで飼う米軍家庭
「猫が歩いた近現代」などの…
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- 【視点】
戦後に起きたシャム猫ブームは、純血種の洋猫を飼うという文化を日本にもたらしたという意味で、画期的でした。その後のアメリカンショートヘアやスコティッシュフォールドのブームへとつながっていきます。 この一部の猫種に人気が集中する現象は、記事
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