21世紀に地球平面説が再浮上? 専門家より内輪の「実証」を重視
地球は平面で、海の向こうに「世界の果て」がある――。こんな地球平面説が21世紀の今、広がりを見せているという。科学の専門知を無視する形で「説」が広がる状況を考察した「科学の通説はなぜ否定されるのか 生き残る地球平面説」(中央公論6月号)を著した松村一志・成城大准教授(社会学・科学論)は、支持を集める要因はコミュニティーが「実証」を重視する点にあると説く。
大航海時代にコロンブスやマゼランらによって覆された中世の迷信――。地球平面説はこう理解されることが多い。
しかし、アリストテレスをはじめとして古代ギリシャ以来、主流は球体説で、平面説は常に傍流だった。19世紀、科学を重視する進歩主義が、キリスト教を戯画化するために「中世には平面説が信じられていた」との物語を広めたという。一方、聖書を字義通り解釈する原理主義者らがこれに反発しつつ主張した平面説が、現在まで細々と続いてきたという。
それが今、米国を中心に広がっている。松村さんによると、欧米メディアでは陰謀論集団「Qアノン」と並ぶ「ポスト・トゥルース」の象徴とみなされ、ネット上に加え2017年からは平面説の「国際カンファレンス」も開かれたという。
盛り上がりの背景として松村…
- 【視点】
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