免疫異常などで血糖値を調整するインスリンが作れなくなる「1型糖尿病」の患者8人が障害基礎年金の支給を止められたのは不当だとして、国に処分の取り消しを求めた訴訟で、処分を違法と認めて取り消した二審・大阪高裁判決が確定した。上告期限の7日までに国が上告しなかった。

 一審・大阪地裁は原告敗訴としたが、高裁は疾病や日々の投薬による「日常生活の制限」をより具体的に検討。8人はいずれも「常に昏睡(こんすい)などの不安を抱え、慎重な配慮を要する生活を強いられている」として、支給対象と認めた。

 原告側代理人の青木佳史弁護士は、「高裁判断の枠組みで今後、同様の症状の患者が支給対象と認められやすくなる可能性がある。これまでに年金窓口や病院で対象外だと言われて諦めていた患者たちにとっても希望になる」と意義を語った。

 8人は30~50代の男女で、未成年の時に発症。成人後に障害基礎年金の支給対象と認定されたが、国は2016年までに8人の障害等級を見直し、支給を止めた。(山本逸生)