「甘く見過ぎ」怒りの総務省 迫られたLINEヤフー、委託ゼロ表明

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上地兼太郎 ソウル=太田成美

 LINEアプリの利用者情報が流出した問題で、運営するLINEヤフーは8日、流出の原因となった韓国IT大手ネイバーへの業務委託を「ゼロ」にすると表明した。総務省による2度にわたる異例の行政指導に追い込まれたかっこうだ。だが、総務省が求める資本関係の見直しの実現は見通せていない。

 「相当に強い依存関係が存在していた」

 LINEヤフーへの行政指導で、総務省が繰り返し問題視したのがこの点だった。LINEヤフーは、システムの開発や運用をネイバーやその関連企業に委託している。ネイバー側からLINE側のシステムに広範なアクセスができるようになっており、ネイバー側のシステムがウイルス感染した際にLINE側にも不正アクセスが行われたとされる。

 最初の行政指導を受けてLINEヤフーが提出した報告書で、ネイバー側とのネットワークの完全分離が「2年以上先になる」としていたことや、安全管理策に具体性がなかったことが総務省を怒らせた。「事態を甘く見過ぎていないか。危機感がない」(幹部)として、4月に異例となる2度目の行政指導をした。

 さらに、LINEヤフーに出資する中間持ち株会社には、ソフトバンクとネイバーが50%ずつ出資しており、ネイバーは大株主でもある。LINEヤフーは委託先の管理監督をしなければならないものの、委託先が大株主だと情報管理の強化を求めにくいのでは――。総務省はそうにらんだ。両社が共通で利用するシステムの分離だけでなく、資本関係の見直しにまで踏み込んで迫ったのは、このためだった。

 LINEアプリはネイバー日本法人が2011年に開発。現在は約9600万人の利用者がいる社会インフラに成長した。自民党の一部議員は「名実ともに日本のインフラとしなければならない」と話し、経済安全保障上の重要性から厳しい措置を求めていた。

 ただ、総務省幹部は「今回の…

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