北野新太 丸山玄則 杉村和将 佐藤圭司
藤井聡太名人(21)=竜王・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖と合わせ八冠=に豊島将之九段(33)が挑戦している第82期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第2局が24日、千葉県成田市の成田山新勝寺で前日から指し継がれ、対局2日目を迎えた。
昨期、40年ぶりの史上最年少名人となった藤井名人は初防衛を、第77期に名人位を得た豊島挑戦者は5年ぶりの復位を目指すシリーズ。第1局で先勝した名人の連勝となるか、先手番の挑戦者がタイに戻すか。番勝負の方向性を決める第2ラウンドとなる。
立会人は森内俊之九段(53)。朝日新聞副立会人・新聞解説は佐藤和俊七段(45)。大盤解説は木村一基九段(50)、聞き手は小高佐季子女流初段(21)。
対局中継と大盤解説中継はYouTube「囲碁将棋TV―朝日新聞社―」で配信。朝日新聞デジタルでは対局の内容や現地の様子をタイムラインで徹底詳報する。
激闘の直後とは思えなかった。
藤井聡太は静かに笑っていた。
拡大する一夜明け取材での撮影時、報道陣とのやりとりで爆笑する藤井聡太名人=2024年4月25日午前8時52分、千葉県成田市、北野新太撮影
誰かが冗談めいたことを言うと、声を上げて笑った。
名人戦第2局の感想戦が終わってから30分後。
打ち上げの席には、穏やかな夜の時間が流れていた。
豊島将之と2日間の熱戦を戦い、急転の結末に至る勝負を終えた後だったが、表情に疲労の色は薄かった。演奏会を終えたばかりの音楽家のように、柔らかな達成と充足に包まれているように見えた。
タイトル戦での100局目の勝負を終えた。21歳が重ねてきた100度の経験は、17歳の頃よりも彼を強くしていると思えた。あの頃、2日制対局の後は苦しそうだった。
やがて散会となる。歩いて数分の宿舎まで私が送ることになった。
成田山新勝寺の表参道。小雨の舞う暗い道を歩き、宿に到着した後で、ロビーで藤井にひとつ質問をした。
名人は考慮に沈んだ。
彼は常に取材者の問いと向き合う。
盤上の指し手と同じで、おざなりな答えを出したりはしない。
将棋という難解な勝負事を理解…