特定の企業や個人の税負担を優遇する「租税特別措置」(租特)による法人税の減収額が、2022年度は2兆3015億円にのぼり、現行の制度になった11年度以降で最高だった。所得税なども含めた総額では毎年8兆円超の税収が減っている。

 ただ、賃上げ減税のように、効果の検証が不十分でも延長や拡充を繰り返す租特は少なくない。こうした判断を、自民党の税制調査会幹部が仕切り、決定制度の不透明さに拍車をかけている。

 新年度の税制の枠組みを決めるための作業が大詰めを迎える年末。業界団体が所管省庁を通じて提出する税制改正要望は、財務省や総務省が事前に審査をすることになっている。

 その事前審査で「バツ」(お断りする)とされた項目が、「インナー」と呼ばれる党税調幹部の一声で「マル」(措置する)に覆ることが多い。昨年末は役所が「バツ」と判定した8項目のうち、企業の交際費で損金(経費扱い)として非課税にできる金額の引き上げなど、7項目が覆った。

 税調の会合が開かれる党本部には、業界団体の関係者が大挙して押しかけ、要望を書いたプラカードを掲げて議員にアピールするのが恒例だ。会議室の壁に耳をあてて、業界の意にそった発言を議員がしているかをチェックしている担当者までいる。

 自民党の政治資金団体「国民政…

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