ミジンコが体内時計の機能で一日の昼夜の長さを認識し、産む卵の性別を決めていることを突きとめたと、宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センターの研究グループが発表した。環境で産み分けることはわかっていたが、仕組みが不確かだった。グループは「ミジンコがどう周囲の環境を読み取っているのかの一端に触れられた」としている。

 研究に取り組んだのは、環境生理学研究室の宮川一志准教授(41)、研究当時大学院生だった阿部潮音さん(24)、大学院生の高畑佑伍さん(25)の3人。

 宮川准教授によると、ミジンコはエサが豊富で暖かい春から夏にかけては、メスが交尾をせずにメスになる卵を産む「単為生殖」をする。秋には一部のミジンコがオスになる卵を産む。そのオスがメスと交尾する「有性生殖」をし、低温に強い「休眠卵」を産んで越冬する。こうしたミジンコの環境による卵の産み分けは知られていたが、仕組みは解明されていなかった。

 研究グループは、DNAを切断して遺伝子を書き換える「ゲノム編集」の技術を活用。生物が備える体内時計のひとつで、24時間周期のリズムをもたらす「概日(がいじつ)時計」の機能を破壊したミジンコを世界で初めて作り出した。これで、様々な検証が可能になった。

拡大する写真・図版ゲノム編集をしたミジンコ=宇都宮大学の宮川一志准教授提供

 昼と夜の長さの変化に影響を受…

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