拡大する写真・図版より安全な道路のあり方について語る石田東生さん=茨城県つくば市の筑波大

 事故を起こしたくないから、もう自動車は運転できない。でも、身近な電車やバスは減る一方――。そんな移動クライシス(危機)に対応しようと、「モビリティスクーター」「超小型モビリティ」といった新しい車両が登場しています。ただ、こうした車が安心して走れるような道路づくりも欠かせません。今後の道路はどうあるべきか。社会資本政策の専門家で、移動をめぐる課題解決を目指す内閣府組織のリーダーも務める石田東生(はるお)・筑波大名誉教授に聞きました。

 ――「マスコミは高齢者による事故加害者の面を強調しすぎだ」と批判されていますね。

 加齢に伴って運転能力が落ちているのに乗り続け、重大な事故を起こしてしまうケースは確かに深刻で、こうした事故を防ぐための対策が大切なことは言うまでもありません。

 ただ、高齢者はいまの交通社会の被害者でもあります。そちらの面にももっと目を向けていただきたいのです。

 たとえば、警察庁の統計によれば、交通事故による死者の半分以上は65歳以上の方たちです。高齢者の割合がこんなに高いのは、先進国では日本だけです。

日本の事故死者で目立つ「65歳以上、歩行中」

 交通事故死者の36%は歩行中に事故に遭っていますが、この割合も米国の17.4%、フランスの14.9%などと比べて高い。そして、日本の歩行中死者の約7割は65歳以上とされています。

 ――なぜ、そうなるのでしょうか。

 ひとえに、身近な生活道路にお…

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