拡大する写真・図版宮城県での半導体工場建設を発表するSBIHDの北尾吉孝会長兼社長(右から2人目)とPSMCの黄崇仁会長(同3人目)。記者会見には村井嘉浩知事(左)も出席した=2023年10月31日、東京都千代田区丸の内1丁目、杉山歩撮影

みちのくの半導体:上

 始まりは、宮城県職員も見逃したという15行の短い新聞記事だった。

 2023年7月6日。東北のブロック紙「河北新報」は同日付朝刊の経済面で、SBIホールディングス(HD)と台湾の半導体受託生産メーカー「力晶積成電子製造(PSMC)」が、日本国内に新たな半導体工場をつくる方向で基本合意したことを伝えていた。

 「これ、面白いな」

 宮城県知事の村井嘉浩は記事を読んだ瞬間、感じた。すぐさま県職員にSBI側に接触し、情報収集にあたるよう指示した。

 政府は近年、経済安全保障を掲げ、半導体の国内生産を後押しする。村井もまた、県内への工場誘致を狙っていた。

 熊本県への進出を決めた「台湾積体電路製造(TSMC)」や北海道に決まった「ラピダス」の時も誘致をめざした。だが、「新聞に出た時点で場所はほぼ決まっていたようだ」。苦い経験もあり、この時も「ダメ元で」という意識だった。

 県職員にSBI側につながる人…

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