工事現場やイベント会場の安全確保を担う警備員の人手不足が続いている。大阪・関西万博を来年に控える中、国家資格をめぐる詐欺事件も起きた。「争奪戦」の激化に専門家は警鐘を鳴らす。

現場では心ない罵倒も

 「よく誤解されますが、僕らは立っているだけじゃないんですよ」。兵庫県内の大型商業施設。出入り口で車を誘導していた田端勇喜さん(33)はそう話した。

 忙しく誘導棒を振りながら、歩道の人の流れが途切れるタイミングを見計らって車に指示を出す。「何の権限もないくせに」などとドライバーから罵声を浴びることもあるが、「指示はハキハキと。人の命に関わるので」。

 奈良県内の道路工事現場では、上甲健太郎さん(47)が出入りするダンプカーに合図を送っていた。「自分の動き次第で渋滞を生むこともある。責任は重いんです」。強い雨が降ると下着にまで水がしみこみ、冬は凍えて足先の感覚を失うこともある。

 きつい、きたない、危険。「3K」のイメージを持たれる警備員の人手不足は深刻だ。厚生労働省によると、2月時点の有効求人倍率は、全業種の1・20倍に対し、警備員を含む保安業は6・73倍に上る。

人手不足が刑事事件に発展

 そんな中、ある資格をめぐって事件が起きた。

 「交通誘導警備業務2級」。交…

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