駅愛称の命名権、最低30万円から 津軽鉄道が資金調達のため販売

吉田耕一
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 太宰治のふるさとを走る鉄道の駅に、名前を付けませんか――。津軽鉄道(青森県五所川原市)が、全12駅の愛称(副駅名)の命名権者を31日まで募集している。利用者減で厳しい経営状況が続く中、事業継続に向けた新たな資金調達策として考え出した。

 津軽鉄道は、津軽五所川原―津軽中里間の20・7キロを走る。乗車人員は1974年度の約256万6千人をピークに減少が続き、2022年度は約23万2千人と10分の1以下にまで落ち込んだ。沿線人口の減少やマイカーの普及に加え、コロナ禍が拍車を掛けた。

 累積赤字は、22年度末時点で約3900万円を計上。沿線の五所川原市と中泊町から固定資産税の減免措置を受けているものの、収入不足で資金繰りが厳しいという。

 打開策の一つとして、2市町の若手職員による津軽鉄道活性化促進チーム「津鉄ア・モーレ」が提案したのが、駅の愛称命名権の販売だ。最低希望価格(いずれも税別)は、津軽五所川原を150万円、金木と津軽中里を各130万円、津軽飯詰など3駅を各50万円、十川など6駅を各30万円に設定している。

 各駅の応募者の中から、愛称や提案額を審査して優先交渉権者を選定。応募の際には、駅舎や駅施設の活用策の提案も歓迎する。契約が成立すれば、駅のホームに昔ながらの木製の駅名標を立てて愛称を表示する。31日までに成約に至らない駅は募集を継続する。

 津軽鉄道は、旧金木村(現五所川原市)出身の作家・太宰治の作品にも登場する。例えば、紀行文『津軽』(1944年)に「踏切番の小屋くらいの小さい駅」と書かれた当時の芦野公園駅は、今も現駅舎の隣に喫茶店として残る。桜の名所で、満開時は桜のトンネルを「走れメロス号」が走る人気スポットだ。

 同社総務課の担当者は「新たな資金調達と併せて、沿線のPR効果や愛称の駅名標を見にきてもらうことで、地域の活性化につながれば」と期待する。

 問い合わせは総務課(0173・34・2148)。(吉田耕一)

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