聞き手・高重治香
男女の賃金格差は、なぜ生まれ、何が問題なのか。著書「ジェンダー格差」で格差をめぐる様々な研究を紹介した日本貿易振興機構アジア経済研究所主任研究員の牧野百恵さんに聞きました。
賃金格差という言葉は、現状ではかなり幅広い意味で使われていますが、一番問題なのは、同じ仕事をしているのに、給料を1時間当たりに換算した時の賃金が異なる場合です。
典型的なのは派遣社員です。実態として同じ仕事をしていても、正社員より賃金が低い場合があります。
時短勤務を選んだ場合の給料の減り幅の問題もあります。多くの会社で、働く時間の減少分以上に割り増しで給料が減り、フルタイムとの1時間あたりの賃金差が開きます。長時間労働が重宝され、それをできないペナルティーが大きいのです。出世や将来の賃金にも影響は続きます。
また、派遣社員や時短勤務は女…