現地の研究者が見た能登半島地震 過去最大は「未想定」の中で起きた

有料記事能登半島地震

聞き手・大山稜
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 1日夕に発生した能登半島地震から1週間が経っても、道路の寸断が続き、支援を求める被災者の孤立が解消できずにいる。高齢化と人口減が進み、群発地震が続く半島での備えは十分だったのか。地域防災に詳しい金沢大学の青木賢人(たつと)准教授(自然地理学)に聞いた。

 ――能登半島で観測史上最大の地震が起きた現状をどう捉えているか

 悔やまれるのは、津波警報が発生翌日の午前1時すぎまで続き、解除に時間がかかったことです。結果的に生き埋めになった人の救助にマンパワーを投入するのが遅れました。

 日本海での津波の特徴が理由だと思われます。津波は日本海沿岸に向かうだけでなく、ロシア沿岸や朝鮮半島などにぶつかり、日本列島に戻ってきます。この往復で潮位変化が長時間にわたり、警報解除に時間を要したのでしょう。

能登半島で観測史上最大の地震が起きました。記事後半では、現地で研究してきた目線で、次への備えや復興の課題に触れています

想定外というより、「未想定」

 ――「想定外」の地震だったのか

 石川県は2012年度に津波被害を想定した地域防災計画を作っています。想定の一つにマグニチュード(M)7・66の能登半島北方沖地震があります。ただこの地震のデータは、地震被害の想定には用いられていません。

 地震被害の想定は1997年度に公表されてから更新されておらず、最大震度や具体的な被害想定が不十分な状態でした。県がまさに見直しを進めていたさなかでした。

 つまり、「起こると思ってい…

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    小松理虔
    (地域活動家)
    2024年1月8日11時4分 投稿
    【視点】

    現地の防災研究者が「未想定」という言葉を使って解説せざるを得ない状況だということに、さまざまな思いが去来する記事でした。人によってさまざまな受け止め方があると思います。未想定。もう少しこの言葉の意味を考える必要があるなと思いました。

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    牧原出
    (東京大学先端科学技術研究センター教授)
    2024年1月8日14時39分 投稿
    【視点】

    地域もそれなりに対応してきていたが、「未想定」の災害を前に困難な状況に置かれている、という双方への目配りがこのインタビューの重要な点だと私は考えています。 また改めて繰り返すことが重要なのは、以下の部分でしょう。 「自治体も、物

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能登半島地震

能登半島地震

1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る]