先輩がダメ出し、鈴木たろうは言い返した 普通を疑いゼウスの定跡を

 20年以上前のこと。まだ若手の麻雀(マージャン)プロだったドリブンズ・鈴木たろう(50)の打っていた卓を、先輩プロがじっと見つめた。

 「こんな鳴きしたらダメだ。流れが悪くなる」

 大まじめにそう指摘された。

 鳴いて流れが悪くなるなんて、そんなことあるものか。

 「そんなの論理的じゃない」

 先輩相手に言い返した。

 先輩プロは「海を見たことがないやつが、海を語るな」。声をうわずらせた。

 「タイトルをとったこともない若手が麻雀を語るなと。実績はありませんでしたが、負ける気はしなかったので悔しかったです」

 鳴くとツキが下がるといった「オカルト」がはびこる時代。得な選択を追求し、鳴きも積極的に使うべきだと主張し、当時頭角を現しつつあった小林剛(47)、村上淳(48)と3人で「オカルトバスターズ」を結成。デジタル派の代表格となった。

「僕は理屈っぽくて、昔から理解されにくかった」。鈴木たろうの常識への挑戦、そして園田賢との出会いが与えてくれたものとはーー。

 昔から、常識や当たり前という言葉が嫌いだった。

 「当たり前ってただ頻度が多…

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この記事を書いた人
前田健汰
文化部|麻雀担当
専門・関心分野
麻雀、演芸、演劇