マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次いでいる日本。国民に割り振られる番号制度は様々な国で導入されているが、「国の数だけしくみは異なる」と専門家は言う。富士通で住民基本台帳のシステム開発などに携わり、現在は行政システム総研で顧問を務める榎並利博さんに、各国の番号制度を大きく四つに分類してもらった。
①「福祉型」 国の信用高く
一つ目が、国が番号を一括管理し、その利用範囲も広い「福祉型」だ。「世界一の電子政府」と言われるデンマークやスウェーデンなどがこれに入る。
スウェーデンでは元々、教会が住民記録を管理していたが、17世紀に制度化。政府は1960年代にデジタルデータ化し、91年に国税庁の所管となった。
行政分野のみならず、銀行口座の開設から携帯電話の契約、ファストフード店のポイントカードまで、マイナンバーが必要になる。オンラインバンキングや電気など公共料金のサイトにログインする際にも、「ユーザーID」代わりになって使われている。
納税の徹底が目的だが、榎並さんは「番号制度の利用範囲が広い分、高い水準の福祉が提供できている。国の信用が高く、民主主義のレベルが高いのが特徴」という。
男女平等の先進国と言われる北欧。税務署では、閲覧記録は残るものの、誰がどの程度稼いでいるかまで開示されているため、男女間の賃金の格差解消のきっかけになったとも言われている。
②「統制型」 戦争や隣国の脅威から
二つ目が、戦争や隣国の脅威…