安倍派4閣僚が辞表 松野氏「国政に遅滞を生じさせないよう考えた」

岸田政権

 自民党の「清和政策研究会」(安倍派)の政治資金パーティーをめぐる問題で、松野博一官房長官は14日午前の記者会見で、岸田文雄首相に辞表を提出したと明らかにした。安倍派に所属する鈴木淳司総務相、宮下一郎農林水産相、西村康稔経済産業相もそれぞれ辞表を提出した。

 松野氏は会見で「政治資金について様々な指摘がなされ、国民の政治に対する信頼が揺らいでおり、私自身の政治資金収支報告書についても様々な指摘がなされている中、国政に遅滞を生じさせないよう職を辞することと考えた」と、辞任の理由を説明した。

 一方、自身が裏金を受け取ったとされる疑惑については「私の政治団体についても精査をした上で適切に判断をしていきたい」と述べるにとどめ、議員辞職は否定した。

 首相は松野氏の後任に林芳正前外相(岸田派)を充てる意向。林氏は14日午前、党本部で記者団の取材に対し、「しっかり支えてほしい」と首相から伝えられたことを明かした。

 西村氏は経産省で記者会見し「政治資金について国民に疑念を持たれているなか、けじめをつけなければいけないと判断した。政治不信につながっていることは、改めておわびしたい」と陳謝した。

 西村氏は同派の実務を取り仕切る事務総長経験者で、約100万円の裏金を受け取っていた疑いがもたれている。2日時点では「法律にのっとって正式に毎年報告をしている」と強調していたが、その後は「確認中」と発言に変化がみられていた。

 14日の会見でも、西村氏は「改めて通帳や帳簿などの精査・確認作業を進めている」と繰り返した上で「捜査当局から求めがあれば、全面的に協力をしていく」と述べた。

 途中での辞任について、「デフレから脱却し、改革をしっかり進めたいという思いで取り組んできたが、道半ばということで大変残念な思いだ」と悔しさをにじませた。

 西村氏は元経産官僚。安倍派幹部「5人衆」の一人で、野党時代の2009年には自民党総裁選に出馬した。第2次安倍政権では官房副長官や経済再生相などを歴任。安倍晋三首相(当時)を間近で支え、コロナ対応などに当たってきた。

 昨年の経産相就任後は東京電力福島第一原発の処理水海洋放出での地元対応や、半導体支援策などに取り組んできた。自身も「安倍総理の下で経験を積ませてもらった。ぜひ挑戦したい」と、「ポスト岸田」への意欲を燃やしていた矢先の辞任となった。

 宮下氏は「私の政治資金は法にのっとって適正に処理されていると認識しているが、国政に遅滞を生じさせることがあってはならないという観点から総合的に判断をした」、鈴木氏は「私自身の問題ではなく、清和(安倍派)として、ここはしっかり身を引かなければいけない」と説明した。

 首相は14日午後に新閣僚を任命する。総務相の後任に松本剛明前総務相(麻生派)、農水相に坂本哲志元地方創生担当相(森山派)、経済産業相に斎藤健前法相(無派閥)を起用する意向…

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