第2回娘を抱く妻を夫は突き飛ばした DVで「男の特権意識」に気づくまで

有料記事らしさって 国際男性デー

根岸拓朗

 その夜、男性は都内の自宅で妻と言い合いになっていた。3カ月の娘を抱っこしたまま、妻は叫んでいる。何を言われていたのか、よく覚えていない。

 外資系企業に勤める男性は30代半ば。リーダーを任されたプロジェクトを「成功させたい」と、毎日終電ぎりぎりまで働いていた。しかし、妻からは帰宅時間の遅さをなじられ、たびたび口論となっていた。

 おれはこんなに頑張っているのに。なんでわからないんだ――。

 ドンッ。

 数十分続いた口論の末、気づくと妻の肩を突き飛ばしていた。

 数時間後、妻から見せられたのは、ネットで見つけたというDV(家庭内暴力)加害者の更生プログラムだった。

「男らしさ」とは。それがもし自分を苦しめ、人を傷つけているのだとしたら。11月19日の国際男性デーに合わせた連載第2回です。

 「手が出たのは1回だけだ…

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この記事を書いた人
根岸拓朗
東京社会部
専門・関心分野
司法、人権、ジェンダー
Think Gender

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男女格差が主要先進国で最下位の日本。この社会で生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。性別に関係なく平等に機会があり、だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダー〈社会的・文化的に作られた性差〉について、一緒に考えませんか。[もっと見る]