「自分らしさを大切に」「自分らしく生きよう」といったメッセージを目にすることがあります。では、「自分らしさ」とは何なのでしょうか。著書「俺俺」で他人との違いが消えた世界を描いた小説家の星野智幸さんに話を聞きました。

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「選んだ」ではなく「選ばされた」

 「自分らしさ」というものがそもそも存在するのか、自分と他人を分ける境界なんてあるのか――。僕はそんなことを考え続けています。

 買い物に行けば、「自分の意思」で商品を選んだと思います。でも、実はブームの商品だったなんていうことがしばしばあり、「選んでいたのではなく、選ばされていたんだな」と気付かされます。僕が書いてきた小説も、後から振り返ると「ああいう時代だったからこれを書いたんだな」と思うものは多い。「自分の意見」も、誰かの受け売りかもしれない。

求められるのはポジティブな自分

 どこまでが自分の意思で、どこ…

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