吉備彩日
患者の資格情報をオンラインで確認する医療機関での「マイナ保険証」の利用率が8月は4・7%にとどまり、4カ月連続で下がっていることがわかった。厚生労働省が29日公表した。健康保険証の廃止が来年秋に迫る中、相次ぐトラブルなどで利用が広がらず、同省は危機感を募らせている。
マイナ保険証の利用率は、医療保険の加入情報などをオンラインで確認する際、従来の保険証ではなくマイナ保険証が使われた割合。医療機関にオンライン資格確認のシステム導入が原則義務化された今年4月には6・3%まで上昇したが、その後はじわじわ下がり、8月時点で4・7%だった。利用件数も、ピークだった5月の853万件から734万件まで減少した。
交付されたマイナンバーカードのうち、保険証として利用登録されたのは約6900万枚。医療機関や薬局では、86%(9月24日時点)の施設でマイナ保険証が扱える状態になっている。
利用の低迷について、武見敬三厚労相は29日の閣議後会見で、「極めて重要な課題と受け止めている」と危機感を示した。利用が進まない理由については、情報のひもづけの誤りを受けた国民の不安▽医療現場におけるトラブル▽マイナ保険証を利用するメリットがあまり知られていない、といったことが関係しているとの認識を示し、「課題を一つ一つ解決し、国民が安心してマイナ保険証を利用できる環境を整備することを徹底する」と述べた。(吉備彩日)