国軍がクーデターで全権を握った2021年2月以来、その男性(45)は妻と娘とともに住まいを転々としてきた。当局に逮捕されるのを避けるためだ。

【連載初回はこちら】禁忌の僧侶批判に数千の「いいね」 仏教国ミャンマーで揺らぐ信仰
 2021年のクーデターで全権を握った国軍による抑圧的な支配に終わりが見えないミャンマーでは、社会のさまざまな要素が壊れ始めています。それは信仰心、自然環境、仕事……と広範囲に及びます。現場から報告します。

 最大都市ヤンゴンで貨物列車の運転士をしていた公務員だった。クーデター後、国軍への抗議の意思を表すために公立病院の医師や看護師らが職場を離脱したことから全国に広がった「不服従運動(CDM)」。男性も、鉄道の職員官舎を飛び出して参加した。

 現地メディアによると、不服従運動の参加者は一時、全国で36万人に達した。職種は、医療関係者から教員、省庁職員、技術者、一部民間企業にも広がっていった。国軍側は刑法を改正し、「犯罪者」として運動参加者の取り締まりに乗り出した。

クーデターから2年半以上、いまも「不服従」を続ける

 生活のために一部は職場に戻り…

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