台北=白見はる菜 台北=石田耕一郎
台湾を訪問中の自民党の麻生太郎副総裁は8日、台北市内で講演し、中国の軍備増強を前に緊張感が高まる台湾海峡情勢を念頭に、「戦う覚悟」を強調した。また、蔡英文(ツァイインウェン)総統とも会談、連携方針を確認した。「台湾有事」への姿勢を示したものだが、野党からは批判の声も出ている。
同日午前、台北市内のホテルで講演した麻生氏は、台湾海峡で軍事演習などを行う中国の動きに警戒感を表明。「最も大事なことは、台湾海峡を含むこの地域で戦争を起こさせないことだ」としたうえで、「日本、台湾、米国をはじめとした有志の国に、非常に強い抑止力を機能させる覚悟が求められている。戦う覚悟だ」と訴えた。
さらに「金をかけて防衛力を持っているだけではだめ。いざとなったら使う。台湾海峡の安定のために使う明確な意思を相手に伝えて、それが抑止力になる」と続けた。
党によると、1972年の断交以降、現職副総裁として初の公式訪台に踏み切った麻生氏。強い言葉を用いる背景には、中国が台湾に侵攻する「台湾有事」への懸念が岸田政権内で強まっている状況がある。
今月18日には米・ワシントン郊外で開かれる日米韓首脳会談も控える。政府側は「議員・政党の活動について、コメントすることは差し控えたい」(松野博一官房長官)と正面からの言及を避けたが、政権中枢にある麻生氏の訪台は、安全保障環境に対する政権の姿勢を内外に示す狙いもあるとみられる。
また、同日午後の蔡氏との会談…