JR西日本は2日、広島・岡山両県を走るローカル線の芸備線の特に利用者が少ない区間について、そのあり方を沿線自治体と話し合う「再構築協議会」の設置を国に要請する方針を表明した。国も参加して対象区間の存廃も含む議論が進む見通しだ。

【連載】 線路は続くか
地域の「足」となってきたローカル鉄道が廃線の危機を迎えています。現場から報告するシリーズです。

 同協議会は法改正によって10月に始まる新たな制度で、国土交通省の担当者によると、設置申請の具体的な表明は全国初という。

 JR西は芸備線の備後庄原(広島県庄原市)―備中神代(岡山県新見市)間の68・5キロを協議会の設置要請の対象とする方針。2日に岡山市内で開かれた芸備線の経営状況に関する会合で両県側に伝えた。

 同社地域共生部の須々木淳次長は非公開の会合の後、記者団に対し、対象区間について「全国でも非常に利用は少ない。鉄道の特性が生かせていないのが顕著」と強調。協議会の設置を「できるだけ速やかに要請していきたい」と述べた。

 再構築協議会は、4月に成立して10月1日に施行される改正地域公共交通活性化再生法に盛り込まれた。「大量輸送機関としての鉄道の特性」を生かすのが困難な赤字などのローカル線について、地域公共交通のあり方を関係者が連携して「再構築」することを目指すとされている。

 事業者や自治体の要請で国が設置し、地域に適した交通手段を話し合って、バスなど鉄道ではない方法に転換する場合でも国が財政支援をする。

 芸備線は利用の低迷が続き、JR西が昨年4月に発表した30区間の輸送密度(1日1キロ当たりの平均利用者数)では、今回の対象区間内にある東城―備後落合間が同社管内で最低の11人だった。

 ただ、これまで沿線自治体からは廃線への懸念が強く示されてきた。同社の表明を受け、岡山県幹部は「地元と相談しながら対応を検討したい」と述べるにとどめた。(小沢邦男、西本秀

言葉濁す自治体、歯切れ良いJR西

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