五輪選手と参加者が一緒に走る「オリンピック・デーラン」の人気が低迷している。スポーツを通じてよりよい社会を築く「オリンピック・ムーブメント」の一環として、1993年度には全国23会場で開かれたが、今年度の開催が決まっているのは2会場だけ。五輪の開催がスポーツの振興につながっていないという研究もあり、活動は岐路に立たされている。
デーランは、五輪選手と参加者が2~4キロほどを一緒に走って「五輪の基本精神の理解を促す」ことを目的に、日本オリンピック委員会(JOC)と希望自治体が開催してきた。87年度に北海道で始まり、93年度には最多の23会場で開かれた。コロナ禍前の2019年度は、10会場でのべ約3万人が参加した。
コロナ禍による中止を経て3年ぶりの開催となった昨年度は、北海道士別市と東京都板橋区、宮城県石巻市、長野市、大分県中津市、福岡県大牟田市の6会場のみで参加者ものべ1万人を切った。今年度はさらに減り、これまでに開催が決まったのは長野市と東京都板橋区の2会場だけだ。
過去30回開催した北海道士別市も、やめた自治体の一つ。感染症対策などで経費が約200万円まで膨らんだことを理由に、独自のスポーツイベントに切り替えた。担当者は「五輪の名称は使えなくなるが、培ってきた五輪選手とのつながりや開催ノウハウは生かせる」と語った。
昨年度が初開催だった宮城県石巻市も、一度きりで終えることにした。以前は東日本大震災の復興支援として、JOCが地元負担なしの「オリンピック・デー・フェスタ」を開いてきたが、事業が終わり、デーランにした。しかし、経費が約260万円かかった割に参加者は延べ804人と伸びなかったという。
2012年度から続けてきた…
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