第7回広がる孤食、70歳以上の女性最多 一人の食事で栄養バランスに偏り

きょう、誰と食べる?~孤食を考える~

三宅梨紗子
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 高齢化や核家族化など、社会のありようが変わる中で、ひとりで食事をとることを意味する「孤食」が広がっている。ひとりでの食事を好む人がいる一方で、一人暮らしの高齢者など、「望まざる孤食」に直面する人もいることを踏まえ、新たな食の形を模索する動きも出ている。

 農林水産省の2019年の調査によると、1日の食事をすべて一人で食べる頻度について、「ほとんど毎日」と答えた人の割合は13・7%。11年の7・1%から倍近く増えた。性別、年代別では、70歳以上の女性が27・6%と最多で、20歳代の男性が23・8%で続く。

 高齢の一人暮らしが増え、孤食がさらに広がる可能性もある。2023年版高齢社会白書や20年の国勢調査によると、65歳以上の人口に占める一人暮らしの人の割合は20年は男性が15・0%、女性が22・1%で、総数は約671万7千人。65歳以上の約5人に1人が一人暮らしで、40年の総数は約896万3千人になると推計されている。

 孤食には、栄養面などの問題が指摘されている。

 名古屋学芸大学女子栄養大学の名誉教授、足立己幸さんは半世紀にわたって、子どもや高齢者などの孤食に関して調査。一人で食事をする場合、家族や友人と一緒に食事をするより、摂取する栄養素のバランスに偏りがあることが分かった。

 孤食の広がりとリスクを背景に、誰かと一緒に食事をする「共食」が注目されている。

 農水省の調査では、地域や職場などで食事会の機会があれば参加したいと思うかとの問いに、「そう思う」と回答した人が「そう思わない」を上回り、4割を超えた。特に50歳代の男性、40歳代と70歳以上の女性では、ほぼ半数に達する結果となった。

 内閣府が発表した20年度の「食生活に関する世論調査」によると、共食について、孤食と比べてどのような点をメリットとして感じているかの問いに対し、「会話やコミュニケーションが増えること」が84.2%と最も高く、「食事がおいしく、楽しく感じられること」(73.0%)が続いた(いずれも複数回答)。

 共食のひとつとして、「子ども食堂」が全国に広がっている。認定NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」によると、2022年度には7363カ所と、過去最多を更新した。「子ども」に限定せず、大人も参加できる多世代型の地域食堂も増えている。(三宅梨紗子)

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