300年の伝統つなぐ 「陶芸の杜」が原発事故以来の再開 浪江町で

大月規義
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 福島県浪江町の大堀地区にあった「陶芸の杜(もり)おおぼり」が3日、12年ぶりに再開した。大堀相馬焼を展示し、約300年の歴史を紹介していたが、東京電力福島第一原発事故で休館していた。吉田栄光町長は開所式で「町の誇りである大堀相馬焼を、私たちは受け継いでいく責任がある」と語った。

 大堀相馬焼協同組合によると、大堀相馬焼の創業は1690(元禄3)年。原発事故の前は、約20軒の窯元がいた。

 事故に伴い、大堀地区は帰還困難区域に指定された。町は2017年、国に対して大堀地区を「特定復興再生拠点」(復興拠点)に認定するよう求めた。しかし当時の大堀地区は放射線量が高く、国は除染が難しいとして認定を拒否。町との協議のうえ、陶芸の杜などを限定的に除染、避難解除し、居住は禁止した。

 このため、住民は帰還できないが、陶芸などの事業は再開可能だ。

 陶芸の杜の再開を記念し、3、4日は焼き物を販売する「大せとまつり」も復活し、多くの人が集まった。窯元のなかには、中通り地方などで事業を再開した事業者もあるが、大堀へ戻って陶芸をするのは今のところ1、2軒だという。協同組合の半谷貞辰(ていしん)理事長は取材に「産地を再生させるには、窯元が避難している現状や、後継者の不在など、多くの問題を乗り越える必要がある」と語った。大月規義

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