「ようやく妻が死んでくれた」 年金暮らし65歳が伝えたかった真意

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笹山大志
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 松本隆潮(たかしお)さん(66)が転勤先の熊本で、妻のミサ子さんと出会ったのは、29歳の時だ。

 クリスマスイブに参加したパーティーで、向かいの席に座っていた。「女神じゃん!」。一目ぼれだった。

 女性と付き合っても長続きしなかった過去の自分に言ってやりたかった。「お前はあるクリスマスパーティーで一つ年下の超美人の女の子と出会うよ」。1年で結婚した。

 気が強く、思いやりがある人だった。電車で優先席に座っている若者に、「おじいちゃん、おばあちゃんが立っているんだから」と席を立たせたこともある。

 小遣い制で、友だちと自由に飲みにも行けなかった。洗濯機に靴下を裏返して入れないと、「毛玉になるでしょ」と怒られた。

 出かける前の化粧や洋服選びに時間がかかる。買い物の時間は長いし、荷物は持たされるから一緒に出かけるのは億劫(おっくう)だった。

 会社で表彰を受け、ハワイ旅行をプレゼントされたが、妻は「私は飛行機に乗れないから」と言い、行けなかった。ささいなことでたびたび口論した。

 妻に隠れて、東京・三軒茶屋のスナックに入り浸った。若い女性にうつつを抜かし、正座でご飯を食べたこともあった。

 でも、健康を気遣って、毎日弁当を持たせてくれた。冷凍食品を食べたことはほとんどない。好きな釣りにも行かせてくれた。

 50歳を過ぎると、けんかも…

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