ウクライナはなぜF16を求めたのか? カギを握る総合力と戦い方

有料記事ウクライナ侵略の深層

牧野愛博
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 ロシアによる侵攻を受けるウクライナに対して米国製F16戦闘機を供与するため、ポーランドなどでウクライナ人パイロットの訓練が始まりました。F4戦闘機のパイロットだった杉山良行・元航空幕僚長は、F16の使い方によっては、情勢が不安定化する恐れもあると指摘します。

 ――F16はどのような戦闘機なのでしょうか。

 F16は比較的安価で、対地・対空攻撃のいずれもできる戦闘機です。日本は保有していませんが、航空自衛隊の主力で、双発エンジンのF15戦闘機が約100億円だとした場合、単発エンジンで機体もやや小型、アビオニクス(搭載する電子機器)も簡易版のF16は約40億円程度です。

 安くて、使い勝手が良いので北大西洋条約機構(NATO)諸国や韓国など、世界中で4千機以上が使われています。

 性能はウクライナ空軍の主力であるミグ29よりも断然良いと思います。旧ソ連は主力戦闘機としてミグ29とスホイ27を開発しましたが、ソ連崩壊で経済が厳しくなり、ロシアになってミグ29を戦力として維持することを放棄しました。このためミグ29を購入した東欧諸国は、部品の調達ができなくなり、維持や整備ができない状態になってしまいました。

ロシアのスホイ戦闘機に勝てる?

 ――F16はロシア空軍のスホイ35戦闘機とは互角に戦えるのでしょうか。

 ロシアの戦闘機は伝統的に…

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