復帰51年 変わらぬ沖縄の基地偏在、経済格差 辺野古では抗議集会

比嘉展玖 棚橋咲月
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 沖縄は15日、日本への復帰から51年を迎えた。米軍普天間飛行場宜野湾市)の移設工事が進む名護市辺野古では、この日朝から計画に反対する抗議集会があり、「新基地反対」と書かれたプラカードを持った市民ら約200人が集まった。玉城デニー知事は復帰51年に合わせたコメントで、「県民の理解が得られないまま工事が強行されている」と批判した。

 15日朝、辺野古沿岸部に広がる米海兵隊キャンプ・シュワブのゲート前で、「基地をつくらせない」と声が上がった。座り込みをしていた市民らが県警の機動隊に排除され、土砂を運ぶ大型トラックが次々に基地内に入っていった。週に2度、座り込みをしているという沖縄市の仲宗根喜美子さん(75)は「子どもたちの未来に基地はいらない。計画が中止されるまで続けたい」と話した。

 辺野古移設をめぐっては、埋め立て予定海域で軟弱地盤が見つかり、政府が設計変更を申請。県がこれを不承認とした処分をめぐり、裁判が続いている。不承認処分は、移設阻止を公約した玉城県政の「最大にして最後のカード」と言われたが、福岡高裁那覇支部は3月、処分を取り消した国の裁決や是正指示は適法だと判断。県は上告した。県の代理人弁護士によると、今夏にも最高裁判決が出る可能性があるという。

 沖縄では、国土の0・6%の土地に国内の米軍専用施設の7割が集中する状況が続くなか、自衛隊の新たな部隊配備など増強が進む。かつて「3K」(基地、公共事業、観光)と言われた沖縄経済は現在、観光が主力産業だ。新型コロナの影響で落ち込んだ観光客数は昨年度677万人まで戻り、「ハワイ並み」と言われた1千万人(2018年度)の大台に向け、回復のめどが見えてきた。一方で、観光産業で働く人の多くは非正規雇用で、低賃金の上、雇用も不安定だと長年指摘されてきた。所得は全国の都道府県で最低水準が続いている。(比嘉展玖、棚橋咲月)

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