マイナカードでの証明書誤交付、富士通に停止要請 200自治体採用

渡辺淳基 伊沢健司
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 マイナンバーカードを使った証明書のコンビニ交付サービスで、他人の住民票などが誤って交付された問題で、河野太郎デジタル相は9日、システムを提供する富士通Japanに対し、システムの一時停止と再点検を要請したことを明らかにした。全国で200弱の自治体が同社のシステムを採用しており、今後、各自治体ごとに対応を進める。

 河野氏は会見で「個人情報保護に関して国民の皆様の信頼を傷つける大変重大な事故で、誠に申し訳なく思う。点検に自治体にもご協力いただくようお願いし、事業者の管理体制についてもしっかり確認を進めていきたい」と話した。

 デジタル庁などによると、誤交付は3月下旬以降、横浜市川崎市東京都足立区で起きた。住民がマイナンバーカードを使い、コンビニエンスストアで住民票や印鑑登録証明書などの交付を受けようとしたところ、他人の証明書が発行された。短い時間に処理要求が重なると誤作動する問題がプログラムにあったという。

 3月下旬に横浜市で誤交付が発生した際には、総務省が各自治体や業者に点検を要請し、富士通Japanの同じ製品を使う自治体など30団体については同社が詳しく調べていた。しかし、5月2日に同社の別の製品を使っていた川崎市では、戸籍証明書を誤交付する問題が生じた。改めてデジ庁が富士通Japanに対し、システムを一時停止したうえで点検範囲を拡大するよう要請する形になった。

 3月に点検を求められながら、再発を防げなかったことについて、富士通Japanは9日、「多大なるご迷惑、ご心配をおかけし、深くおわびする」と発表した。そのうえでデジ庁からの要請について「厳粛に受け止め、真摯(しんし)に対応する」とした。点検や一時停止の期間は未定という。

 証明書のコンビニ交付は、マイナンバーカードの本人確認機能を使い、コンビニの複合機で住民票や印鑑登録証明書の印刷ができるサービス。総務省によると、9日時点で全国の約3分の2にあたる1164市区町村で導入されている。渡辺淳基、伊沢健司)

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    加谷珪一
    (経済評論家)
    2023年5月9日19時0分 投稿
    【提案】

    住民票など各種証明書は極めて重要度が高い個人情報ですが、こうした重要情報が他人に交付されてしまうという今回のトラブルは、絶対にあってはならないことです。政府はマイナンバーカードの普及を強く推進してきましたが、その矢先にこうした重大事案が発生

    …続きを読む