石見銀山の坑道のような本棚も 旧商家改装、大学と地域の交流拠点に

堀田浩一
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 世界遺産石見銀山遺跡がある島根県大田市大森町に、図書館やカフェなどを併設した島根県立大、県立大短期大学部のサテライトキャンパスが完成した。学生や地域の人たちの新たな学びの場にしようと、地元の義肢装具メーカー・中村ブレイスと県立大が共同で古民家を改装。29日にオープンする。

 国の重要伝統的建造物群保存地区にある旧商家「松原家住宅」の木造2階建ての母屋と蔵を中村ブレイスが取得。県立大地域政策学部の平井俊旭講師がデザイン設計を担当し、同学部の学生たちが展示内容など企画づくりに携わった。

 キャンパスの名称は「石見銀山まちを楽しくするライブラリー」。学生と地域の人たちが交流する場として、母屋1階に図書スペースを2カ所設置している。

 「えほんのどうくつ」は、本棚を銀山の採掘坑道「間歩(まぶ)」に見立て、子どもたちが懐中電灯を手に本を探す仕掛けとなっている。「行灯(あんどん)の間」には、地元の竹で作った行灯形の本棚を配置。学生たちが、俳優や作家、グラフィックデザイナーらに依頼して選んでもらった「人生に影響を与えた本」を並べている。

 併設のカフェでは、コーヒーやプリンなどを提供。中庭には子どもたちが水遊びできる浅めのプール、2階にはコワーキングスペース(全8席)やグループで集えるラウンジもある。学生たちは今後、このライブラリーを拠点に朝市を開いたり、地域との交流をSNSで発信したりする予定だ。

 ライブラリー開設に私財を投じた中村ブレイスの中村俊郎会長は「若い人たちに銀山のまちを伝える新たな拠点ができ、本当にうれしい。県内外からも訪れてほしい」と話す。

 開館時間は、木、金、土、日曜の午前10時~午後5時(季節により開館日が異なる)。問い合わせは県立大企画調整課(0855・24・2201)へ。(堀田浩一)

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