質問や指示に対してなめらかな文章で返答する対話型AI(人工知能)「ChatGPT(チャットGPT)」など生成AIについて、大学が対応を迫られている。AIが書いた文章と学生が執筆した文章とを見分けるのが難しいことから、とりわけリポート作成で制限を設けたり注意を呼びかけたりする例が多い。ただ、情報の収集や整理といった場面で活用が期待されており、多くは使用を全面的に禁止とはせず、バランスに悩みながら模索している。
チャットGPTは、米新興企業「オープンAI」のサービス。昨年秋に一般公開されて以降、利用が急増している。質問を入力すると、人間との会話のように自然な回答を返すのが特徴で、文章構成の提示や翻訳、修正、要約も可能。議論の相手や、コンピュータープログラムのコードを書くこともできる。有料の「GPT4」が3月に公開され、精度の向上が話題になっている。
今月7日の入学式で、こうした生成AIが持つ負の側面を強調したのは、京都大の湊(みなと)長博総長だ。AIの文章には誤った情報が含まれたり、根拠となる資料を正確に引用できなかったりする点を指摘し、「(情報を集める)サーチのみでリサーチ(研究)という検証を欠いているため、学術リポートとしては致命的な問題点がある」と述べた。
上智大は3月末、リポートや学位論文などの課題について、「本人が作成したものではないので使用を認めない。使用が確認された場合は不正行為に関する処分規定にのっとり、厳格な対応を行う。ただし、教員の許可があれば指示の範囲内で使うことは可とする」と教職員、学生に向けて対応方針を通知した。ただ、通知の末尾では「教育への活用も含め適宜見直しや検討を続ける」と明記した。
東京大は今月3日、太田邦史理事・副学長名で、生成AIに関する見解をサイトに公表した。出力された文章にウソが含まれている可能性などにも触れ、「使いこなすには(中略)回答を批判的に確認し、適宜修正することが必要」とした。リポートについては「学生本人が作成することを前提としており、生成系AIのみを用いて作成することはできない」とした。
取材に応じた太田副学長は…
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- 【視点】
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