「まじ?」36歳で膀胱がん 何度も再発、平静装って仕事続けたが

有料記事患者を生きる

鈴木彩子
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 「膀胱(ぼうこう)がんです」

 静岡市の小出宗昭さん(63)がそう告げられたのは、いまから27年前。静岡銀行の銀行員だった36歳の1月のことだ。

 暮れに、職場のトイレで大量の血尿が出た。ほかに自覚症状はなかったが、総合病院の泌尿器科を受診すると「不正な影がある」と言われた。

 不安な気持ちで年を越した正月、再び病院に行き膀胱内を調べると「大丈夫、とれば治るから」と医師に言われた。

 良性のポリープかなと思っていた。尿道から内視鏡をいれる手術を受け、術後の説明を聞いていたとき、がんと告げられた。

 「え? まじ?」

 いすから転げ落ちそうだった。動転している小出さんに、主治医の柳岡正範さん(69)=現・あしたば診療所長=は丁寧に説明した。

 膀胱がんは性質上、再発を繰り返しやすい。でも、定期的に検査をして早く発見できれば、切除できるし、仕事も今まで通り続けられる。

 「医師がそこまではっきり言うのだから、きっと大丈夫」

 一晩だけ悩んだが、説明を信じ、前を向いた。

 毎月欠かさず通院し、3カ月ごとに膀胱鏡や尿の精密検査をうけた。

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