「平成で一番売れた新書」刊行から20年、「バカの壁」が伝える壁

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田中瞳子
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 〈「話せばわかる」なんて大うそ!〉

 イラク戦争が始まってまもない2003年4月に刊行された『バカの壁』のキャッチコピーだ。知りたくない情報は遮断し、壁を作ってしまう人間の脳の本質について養老孟司さんが語り、「平成で一番売れた新書」になる。

 新潮新書創刊時に刊行された10点のうちの1冊だった。「ここまでのヒットは誰も予期していなかった」と担当編集者だった後藤裕二さん(現・新潮新書編集部執行役員)は話す。「新書御三家」と呼ばれる岩波新書中公新書講談社現代新書は1960年代までに創刊。90年代にはちくま新書や文春新書をはじめ、次々と新書が創刊された。「新潮社は当時、新書の最後発。社内では今更新書をするの?という声もありました」。不安を裏切り、『バカの壁』は発売から4カ月で100万部を突破。03年末には、永六輔さん著『大往生』(岩波新書、94年)の224万部を抜き、教養系の新書として最多部数を記録した。

「バカの壁」(新潮新書、2003年刊)

累計133刷457万部。新潮新書からはその後、『死の壁』(04年)、『超バカの壁』(06年)、『「自分」の壁』(14年)、『遺言。』(17年)、『ヒトの壁』(21年)とシリーズが続き、シリーズ累計で680万部を突破します。後半では脳科学者茂木健一郎さんが魅力を語ります。

■「新書×聞き書き」ブームに…

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