「ダビデ像はポルノ?」米フロリダの校長が辞職、波紋はイタリアに

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ニューヨーク=遠田寛生
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 イタリアルネサンスの巨匠ミケランジェロの彫刻「ダビデ像」の写真を授業で扱ったことをきっかけに、米フロリダ州にある学校の校長が辞職に追い込まれた。米CNNなどが26日までに伝えた。ローカル地域の「人事異動」は米国を飛び越え、欧州でも話題になっている。

 CNNによると、フロリダ州タラハシーの小中一貫校で先週、小学6年生の美術の授業中にダビデ像の写真を扱ったところ、一部の親から苦情が入った。AP通信は、辞職した校長の話として、ある保護者は彫刻がポルノだと訴えたという。

 同校では「物議を醸しそうな内容」を教える場合は事前に親の同意を得る方針になっているが、校長はこの手続きをとらなかった。重く見た理事会から辞任か解雇の2択を迫られ、辞任を選んだ。

 フロリダ州では昨年3月に、デサンティス知事らが後押しした州法が成立した。同法では小学校3年まで、教室で性的指向(好きになる性)や性自認(自分がどの性であるかの認識)に触れることを禁じた。デサンティス氏は、この法律をさらに高学年にも広げようと動いている。

 同校で理事長を務めるバーニー・ビショップ氏はCNNに、「デサンティス氏がフロリダの教育について行っていることに100%同意する。学校が子どもに見せるものについて、親が知ることができるようにする」とコメント。校長をやめさせる判断は、正当な手続きを踏まなかったことや、この件以外の問題によるものだったと説明した。

 ただ、事態は思わぬ形で世界へと広がっている。

 フィレンツェ市のダリオ・ナ…

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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2023年3月28日10時53分 投稿
    【視点】

    アメリカ、特に保守の世界における性認識の問題やポルノなどの性表現に対する敏感さが高いというのは知られた話だが、それが芸術の世界に入っていくというのは、こうした保守の人たちが美術館に入る時に性的興味から絵画や彫刻を見ているということを暗に示し

    …続きを読む