第2回意思決定の場に女性がいない 小西美穂さんが見つけた3つのハードル

有料記事

聞き手・伊藤恵里奈

 テレビの討論番組に出るのは、なぜ男性ばかりなのか――。日本テレビで討論番組の司会を数多く務めた元キャスターの小西美穂さん(53)は、かねて疑問に思っていた。そこで50歳で大学院に進み、「ジェンダーと政治」を研究。現在は、関西学院大学で教壇に立つ小西さんに、メディアとジェンダー、政治について聞いた。

【連載】Think Gender 2023 インタビュー

ジェンダー平等で、日本は世界水準から大きく遅れをとっています。それは、私たちの思考や日常にどのような影響をもたらしているのでしょうか。3月8日の国際女性デーに際し、記者が「いま、このテーマを、この人に」と思う相手に話を聞きました。

「女性初」だらけのキャリア

 ――「女性初」がついてまわるキャリアを歩んできました。

 大学卒業後、大阪・読売テレビに入社し、女性で初めて警察の捜査1課を担当する記者に。その後、女性初の特派員としてロンドンに。「女性初」として足を踏み入れて、「必ず結果を出そう」と燃えていました。

 女性の先輩がいないのが当たり前で、疑問に思いませんでした。若い頃は、嫌な経験やハードルがあっても、それを克服することにやりがいを感じていました。

 ――その後、日本テレビの政治部記者になったのですね。ジェンダーに関心をもったのはいつごろだったのでしょうか。

 年齢と経験を重ねて中堅になっていくと、社会のジェンダー格差が一向に改善されないことが気になりました。国会の女性議員比率の低さなどをみても、「自然に女性が増えるのを待つのではなく、声を上げて変えないといけない」と思うようになったのです。

討論番組、登壇者は男性ばかり

 ――キャスターとしても活躍し、数多くの討論番組の司会をしました。

 討論番組では、司会の私以外、ゲストの政治家や学者など全員が男性の場合が多かった。安全保障やアベノミクス、憲法改正など国論を二分するテーマなのに、ゲストの人選やテーマを決める立場にある番組制作チームの幹部はほとんど男性、登壇する側もほとんど男性ばかり。

 情報を発信する側は、あらゆる意見を多角的に伝えていかなければなりません。人口の半分は女性で、少ないながらも女性政治家がいます。ところが、世論を二分するテーマでの議論の場では、男性偏重でした。

 メディアの世界でフロントランナーだった小西さんは、50歳で学問の世界に身を投じます。若者と一緒に教室から目をこらして見つめる「日本のモヤモヤ」とはーー。

 意思決定する人たちを巻き込…

この記事は有料記事です。残り3827文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
伊藤恵里奈
盛岡総局
専門・関心分野
ジェンダー史、自然環境、映画、異文化

連載Think Gender 2023 インタビュー(全14回)

この連載の一覧を見る