読むまで死ねない「これ描いて死ね」(小原篤のアニマゲ丼)

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 へぐっ! とよ田みのるさん作「これ描いて死ね」が「マンガ大賞2023」に選ばれました。離島の女子高校生たちが、人気漫画家だった女性教師の指導のもと創作の面白さに目覚めていく物語。「漫画家漫画にハズレなし」の法則通り、熱くて笑えてキュン!と泣ける感動作。しかも「漫画家漫画」の金字塔「まんが道」へのオマージュが随所にちりばめられているところもツボです。

 小学館「ゲッサン」連載中で既刊2巻。3月27日の授賞式でとよ田さんは物語のゴールについて「ネタバレにならないように言いますと、主人公の安海(やすみ)が1巻で言うセリフの通り『自分が納得できる漫画を描くこと』です。僕も、売れたいとかチヤホヤされたいとかでなくそういう思いで漫画を始めた。この漫画はそれを追求し、それが主題となる作品です」。いやー、どんな結末になるんでしょう。読み切るまで死ねません。

 まったくの初心者レベルからスタートする楽しい部活ものでありながら「これ描いて死ね」など鬼気迫るタイトル。これは、安海たちの作った漫画研究会の顧問教師・手島がまだ漫画家デビューする前の若き日、自らを鼓舞するため机に貼った紙の文句。1&2巻の巻末に載っているヤング手島エピソード「ロストワールド」に登場します。そして本編で手島は、安海らが漫研を始動させる時「学業優先」「プロを目指さない」などと並んで「『これ描いて死ね』などと漫画に命を懸けないこと」と注意します。安海らは「そんなこと思うわけないですよー!!」と笑いますが、手島は笑いません。マンガの魔力を知っているから。

 とよ田さんの授賞式での言葉から。「僕も手島先生と同じように、連載を始める時いつも自分を鼓舞する言葉、叱咤(しった)激励する言葉を書いて貼っておくんです。『これ描いて死ね』もその一つで、今回の連載にぴったりだな、と思って使いました。今ですか? 今はダイエット中なので『21時以降は食べない』って書いてあります。すいません、面白くなくて」

 いや、すごく面白いです! 授賞式会場は爆笑です。

 本編のエピソード・ゼロにあ…

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