笑顔の裏で「ハートは痛いまま」 日本へのウクライナ避難者の胸の内

有料記事ウクライナ情勢

植松佳香
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 2月24日。ロシアによるウクライナ侵攻が始まって1年となったこの日、ウクライナからの避難者が働くレストランを訪ねた。出会ったのは、笑顔で日常を過ごす一方で、この1年間、変わることのない胸の痛みを抱えた女性たち。そして、彼女たちを支える人たちだった。

 東京都港区西新橋の雑居ビルの2階にある小さなレストラン「スマチノーゴ」。ウクライナ語で「おいしく召し上がれ」という意味で、ウクライナと和食のフュージョン料理を提供している。ランチの目玉は、もちもちしたお米入りのロールキャベツや、ジュワッとガーリックバターがあふれ出るキーウ風カツレツだ。

 ウクライナカラーの青と黄色を基調とした明るい店内は、外の曇った寒空とは対照的だった。

 「いらっしゃいませー」「ありがとうございました!」

 ここで働くスタッフもハキハキとして明るい。みんな、昨年2月以降に避難者として日本にやってきたウクライナの女性たちだ。子どもと一緒に逃れてきている人も多い。

 首都キーウ出身のアリーナさんは、母親と息子2人と共に、かつて住んだことがある日本に逃れてきた。

 流暢(りゅうちょう)な日本語で接客を担当する。計20席が続々とお客さんで埋まり、ランチタイムは大忙し。それでも笑顔を絶やさず、「カツレツは中のバターが溶けて熱いから、気をつけて」とお客さんへの心遣いも忘れない。

 ディナーの前菜盛り合わせの一つにあるレバーペーストは、アリーナさんの手製だ。家でも作るといい、朝食はコーヒーとこのペーストを塗ったサンドイッチが定番。「タマネギとニンジン入りで、子どもも大好きです」

 そのアリーナさんが、お客さんがいないときに胸の内を話してくれた。

避難者にとっての2月24日

 「2月24日は、特別。悲し…

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