「敵基地攻撃はミサイルの撃ち合いに」 川崎哲さんが訴える平和構想

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聞き手・桜井泉
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 政府は敵基地攻撃能力(反撃能力)を保有し、今後5年間で防衛費を1.5倍に増やすことを決めた。ロシアによるウクライナ侵攻の衝撃で、次は「台湾有事だ」として軍事力に頼る主張も声高に聞こえる。だが、本当に「力の時代」なのか。ピースボート共同代表で平和構想提言会議共同座長の川崎哲さんは「戦争ではなく平和の準備を」と訴える。外交を駆使した平和構築への道筋とは。

 ――政府は「国家安全保障戦略」など3文書を改定し、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を容認し、防衛費を大幅に増やします。

 「戦後の安全保障政策を根本から変えるもので反対です。敵基地攻撃能力は憲法平和主義の原則から逸脱し、中国など周辺国との関係を悪化させ、軍拡競争を進めることになる。しかも国会や国民の間での議論なしに閣議決定されました。民主主義の観点からも問題です」

 「専守防衛は、相手に届く武器を持たないことで脅威にならないという政策ですが、敵基地攻撃能力はこれに反します。政府は、相手側が攻撃に着手した段階で日本は反撃できるとしますが、『着手』をどう判断するのでしょうか。政府は安全保障の『手の内』を明かすとして基準を示しません。撃たれる前の反撃は、相手にすれば日本による先制攻撃です。報復され、ミサイルの撃ち合いになるのは必至です」

 ――「憲法9条はもはや死んだ」と言う人もいます。

 「そうは思いません。欧米で…

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    副島英樹
    (朝日新聞編集委員=核問題、国際関係)
    2023年2月14日13時13分 投稿
    【視点】

    川崎哲氏のインタビューには、重要なポイントがいくつも示されていると思います。  《もちろん北朝鮮による核やミサイルの開発、中国の軍拡と海洋進出は重大な問題です。しかしその対抗策が、抑止力強化という名の軍拡や日米同盟の強化であれば、地域の軍

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