求め続けた送還、一気に前進 特殊詐欺、強盗事件の関与解明へ

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マニラ=大部俊哉 西村宏治
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 特殊詐欺グループの幹部だとしてフィリピン側に求め続けてきた容疑者4人の身柄の引き渡しが、強盗事件への関与が疑われたことをきっかけに一気に前進した。警視庁などは今後、全国に広がる特殊詐欺事件の実態解明を進めつつ、各地で相次いだ強盗事件の関与についても調べる方針だ。

 藤田聖也(としや)(38)、今村磨人(きよと)(38)の両容疑者を乗せた日本航空機がマニラの空港を離陸して約1時間20分後。日本の領空に入った7日午後0時20分ごろ、警視庁は2人への逮捕状を機内で執行した。

 同日午後、フィリピンのレムリア司法相がマニラで記者会見し、裁判所の決定文書を報道陣に見せて笑顔で言った。

 「日本国民の利益になると信じている」「今回改めて(日本から)退去要請を受け、11日間ですべてが終わった。満足している」

 この日は渡辺優樹(38)、小島智信(45)の両容疑者が現地で告訴されていた裁判で、検察側の証拠の取り下げが裁判所に認められた。これで4人の容疑者が現地で抱えていたすべての裁判が終わった。全員を強制退去させられる見通しが立った。

 警視庁は2019、21年に4人の逮捕状を取得。強制退去の要請を継続して行ってきたが、さらに昨年から相次いだ強盗事件の指示役とされる「ルフィ」が4人の中にいる可能性が浮上した。1月19日に東京都狛江市で強盗殺人事件が起きた後は、外交ルートを通じても「4人同時」の引き渡しを求めた。別々では、日本での取り調べの内容がフィリピンに残った容疑者に伝わり、口裏を合わせられるおそれがあったからだ。

フィリピン側にも事情

 だがフィリピン側は、別々でも早く強制退去させたい考えだった。

容疑者4人の返還という日本側の要求が「ほぼ」通った背景には、フィリピン側の思惑もありました。全国各地で発生した強盗事件の解明も焦点になりますが、捜査のハードルは低くないとみられています。

 レムリア氏は1月31日、裁…

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    越智萌
    (立命館大学国際関係研究科准教授)
    2023年2月8日22時11分 投稿
    【解説】

    飛行機が日本領空に入ったところで逮捕、ということですが、今回の場合、国際法上は公空に入った段階で逮捕がすることができるのではないかと思います。 今回使われたのはJALの飛行機で、登録国は日本であり、どの国の領空でもない公空では登録国が

    …続きを読む