自衛隊でパワハラ告発したら「不当に逮捕」 現役隊員らが国を提訴

村上潤治
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 防衛省パワハラ内部告発した後、合理的な根拠もないのに警務隊に逮捕されたのは不当だとして、海上自衛隊横須賀基地業務隊の男性隊員(40)らが、国家賠償法に基づき国に約1千万円の損害賠償を求める訴えを起こしたことが分かった。提訴は3日付。

 原告は、男性隊員のほか、自衛隊横須賀病院(神奈川県横須賀市)に勤務していた20代の元3曹の男性。訴状などによると、隊員は昨年1月末に同病院を退職する予定だった元3曹から、上司に関する相談を受けた。上司から同僚より多く当直業務を命じられた上、「次の仕事はお前には無理。退職手続きを取り消してこいよ」などと言われたという。隊員は懲戒処分を求める申立書を作成。海上幕僚監部と横須賀地方総監部に郵送した。

 2人は同9月27日、捜査機関である警務隊に虚偽告訴容疑で逮捕された。隊員は黙秘、元3曹は容疑を否認。横浜地検横須賀支部は同29日に勾留を請求せず2人を釈放し、11月30日に不起訴処分としたという。

 隊員は取材に「後輩のパワハラ被害を告発したら一度の聞き取りもなく、逮捕された。自衛隊は体質の改善が必要だ。裁判で責任の所在を明らかにしてほしい」と指摘。また、逮捕された日に東京都内の自衛隊の病院から横須賀基地業務隊(横須賀市)に異動となり、それ以降何の仕事も与えられないのは不法行為にあたると訴えている。

 訴状によると、異動後は午前7時~午後4時45分まで、暖房もない部屋で何の仕事も与えられず、椅子に座って1日を過ごしているといい、隊員は不安や不眠に悩まされているという。

 代理人の中原潤一弁護士は「隊員は一度の聞き取りもなく逮捕された。逮捕の必要はなく、パワハラのもみ消しのためとしか思えない」と話している。

 海上自衛隊は3日、取材に「詳細が分からないのでコメントできない」と答えた。(村上潤治)

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