ドイツ政府は25日、ドイツ製主力戦車「レオパルト2」をウクライナに提供すると発表した。ドイツはロシアを刺激しかねないとして単独供与に慎重だったが、米国も近く主力戦車をあわせて供与することで折り合ったとみられる。

 ドイツは連邦軍に約300台のレオパルト2を保有する。発表によると、このうち第一段階として、「A6型」の14台を提供する。訓練もドイツで速やかに実施し、弾薬や維持管理なども負担する。ポーランドなどが保有する分のウクライナへの再輸出も認めるとしている。レオパルト2は欧州を中心に各国が計2千台以上保有している。

 米国も主力戦車「エイブラムス」をウクライナに約30台提供する方針だと、米紙ウォールストリート・ジャーナルが24日、米政府関係者の話として報じた。米紙ワシントン・ポストによると、米独英仏の国家安全保障担当の高官が25日にワシントンでウクライナ支援の会合を開く予定という。

 英国はすでに主力戦車「チャレンジャー2」を14台提供すると決めており、北大西洋条約機構(NATO)を代表する主力戦車がそろってロシア軍と相対することになる。

 米国はこれまで、エイブラムスは維持管理が難しいなどとして提供に慎重だった。ドイツも「NATOとロシアとの直接対決は避けたい」(ショルツ首相)と繰り返し、自国からの提供に消極的なだけでなく、他国が保有する分の再輸出許可も明言してこなかった。

 ドイツの消極姿勢をポーランドが批判するなど、欧米では足並みの乱れが目立っており、戦車の提供に踏み切ることで結束の演出を優先した形だ。ただ、ウクライナ軍が戦車を運用するには訓練期間などが必要で、戦場での運用には数カ月かかる可能性がある。(ベルリン=野島淳、ワシントン=下司佳代子)

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