謎の地下室遺構をユダヤ教ラビが視察

村上伸一
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 日本に滞在するユダヤ教のラビ(宗教指導者)のメンディ・スダケヴィッチさん(48)が昨年末、ユダヤ教の身を清める沐浴(もくよく)施設「ミクヴェ」ではないかとの見方がある人吉城跡(熊本県人吉市)敷地内の地下室遺構を視察した。ラビの訪問は初めてで、同市が水害からの修復を待つため閉鎖している遺構の施設を特別公開した。

 スダケヴィッチさんが現地を訪れたのは昨年12月28日。地下室遺構に関する朝日新聞デジタルの記事を読んで「自分の目で確かめたかった」という。「わき水など自然の流水を使っており、石造りで、ミクヴェの要件を備えている」とした上で、「決定づけるには、実際に何というユダヤ人が住んでいたのか、ほかにも証拠を見つける必要がある」と語った。

 また、「日本でこれほどユダヤと関係のあるものを初めて見た。正式に公開されれば、多くのユダヤ人観光客を連れて来たい」と話した。

 スダケヴィッチさんによると、歴史上「離散の民」といわれるユダヤ人は、どこへ行っても「まずミクヴェを造ることが一番大事だった。それから周辺にシナゴーグ(ユダヤ教会)や墓地などができていくことがある」。ただ、15世紀以降にポルトガルスペインキリスト教に強制改宗された「改宗ユダヤ人」(コンベルソ)は、「ミクヴェだけを造っておしまいにすることがある」という。

 スダケヴィッチさんは戒律を厳格に守るユダヤ教超正統派で、豊かなあごひげをはやして黒の上着、コート、帽子を身につけている。1997年に来日してから、東京などでユダヤ人が戒律を守って心の安息を保てるように支援する「ハバッド・ジャパン・センター」を運営している。(村上伸一)

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