日本の賃金が上がらぬ理由、ベアと定期昇給の割合に注目すると…

有料記事ニッポンの給料

三浦惇平
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春闘解説シリーズ②

 近く始まる今年の春闘で、労働組合の中央組織・連合は賃上げ目標を「5%程度」としています。この数字には「定期昇給」と「ベースアップ(ベア)」が含まれますが、それぞれどんな意味を持つのでしょうか。賃上げ率の内訳をみると、賃金水準の底上げが進まない日本の現状が浮かび上がります。

ベア、定期昇給とは

 連合は春闘の賃上げ目標を昨年まで7年連続で4%程度としていた。定期昇給の2%程度を前提に、ベア2%程度という内訳だった。それを今年は物価高を踏まえてベアを3%程度に引き上げ、計5%程度とした。

 定期昇給とは、社員の年齢や勤続年数に応じた賃金表をつくるなどして、賃金を自動的に引き上げていくことだ。例えば1歳ごとに基本給を1万円上げている会社なら、30歳で月30万円だった社員は、31歳になると月31万円に増える。ただ、賃金表に沿って個人の賃金が上がっていくだけで、単純に定年退職する人と新卒で入社する人の数が毎年同じだとすれば、会社の平均賃金は変わらない。

 一方、ベアとは、賃金表を書き換え、会社全体の賃金水準を底上げすることだ。平均賃金が月30万円の会社で1%のベアがあれば、月30万3千円となる。つまり、日本全体の平均賃金を引き上げるためには、多くの会社でベアが進むことが必要だ。

実際は1%に満たないベア

 ただ、そもそも中小企業など…

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