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模倣行為の差し止め請求権、メタバースも対象へ 知的財産の改正法案

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若井琢水 今泉奏
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 政府が23日召集の通常国会に提出する知的財産関連の改正法案の概要が判明した。インターネット上の仮想空間メタバース」での模倣品の販売などについても、不正競争行為の対象として差し止め請求を認める。また、創業者やデザイナーらがブランド名に使っている自分の氏名を商標登録できるようにする。

 同法案は不正競争防止法、商標法、特許法など6本の法律を改正するもの。

 メタバース市場は近年急速に拡大し、企業の参入が相次ぐ。画面上で操る自身の分身(アバター)が身につける衣服やアートなどの取引も始まっているが、有名ブランドのデザインと酷似した模倣品が作られ、販売される恐れが出ている。

 一方、これらのデジタル空間は現実の空間とは異なり、不正競争防止法の対象外。メタバース上で模倣品が出回っても、民事上の法的措置を取れなかった。今回、同法の改正で「商品形態の模倣行為」の対象をデジタル空間上にも広げ、差し止め請求権などを行使できるようにする。

 また、商標法を改正し、氏名の商標登録を認める。現行法では、原則として氏名などの商標登録は認めていない。読み方も含めて同姓同名の他人がいる可能性があり、その権利を保護するためだ。自身の名前を商標登録するには、同じ読み方をする氏名の人の承諾が必要になる。だが、同じ氏名のすべての人を探して承諾を得るのは困難で、登録は事実上できなかった。

 一方、ファッションブランドでは、創業者らの氏名を掲げるブランドが少なくない。2016年以降、知財高裁では同姓同名の他人の人格権保護を理由に「山岸一雄大勝軒」(ラーメン店)や「KEN KIKUCHI」(ジュエリー)など、氏名を含む商標の登録を認めない判決が続き、業界からは「ブランド戦略上、氏名の商標登録が必要不可欠」と法改正を求める声が上がっていた。

 このため、政府は、自身の名前で事業活動する人がその名前を商標として使えるよう、原則「他人の承諾なく登録可能」とする。

 このほか、デジタルデータの…

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    藤井涼
    (UchuBiz編集長)
    2023年1月21日9時47分 投稿
    【視点】

    JASRACも昨年末に、メタバース空間内でのBGM利用やバーチャルライブにおいて、ネットと同様のライセンス使用料が発生すると方針を明らかにしました。メタバースの定義にもよりますが、まだ一部の企業やユーザーしか参加していない状況で、先にルール

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