竹田真志夫
それは古来、人々が夢見たものだったろう。阿弥陀(あみだ)如来がいまわの際に現れて、けがれなき浄土に導いてくれると。時あたかも21世紀、とうとうその阿弥陀さんもドローンに乗ってやってくるようになった。そう、ここ京都には「ドローン仏(ぶつ)」の舞うお寺があるのだ。
昨年11月23日の夕刻、JR京都駅にほど近い龍岸寺(りゅうがんじ)を訪れた。池口龍法(りゅうほう)住職(42)が朗々と「南無阿弥陀仏」をとなえると、回転翼(ローター)のうなる音が聞こえてきた。小さな阿弥陀如来立像(りゅうぞう)がドローンに乗って本堂をゆっくりと飛んでゆく。
「一緒に木魚でお迎えしたいと思います」。池口さんの呼びかけにこたえ、50人ばかりの参拝客が一斉に木魚をたたく。阿弥陀のドローン仏に先導されて、菩薩(ぼさつ)のドローン仏9体も宙に浮かぶ。木魚のリズムにあわせて様々に隊列をなす。
「日本初のドローン仏の編隊飛行」をうたった「超十夜(ちょうじゅうや)法要」の一幕だ。全国にあまたのお寺はあれど、ドローン仏が飛ぶのは龍岸寺ぐらいだから、たぶん初でしょう。
それにしてもドローン仏を見る人たちはみんな楽しそうだ。「飛んでほしいと思っていた阿弥陀さんが本当に飛んだんですね」。そんな声も聞こえてきた。
龍岸寺は浄土宗のお寺だ。宗祖・法然(ほうねん、1133~1212)は、南無阿弥陀仏ととなえれば、亡くなると誰でも浄土へ行くことができると説いた。戦乱や飢饉(ききん)、疫病にあえぐ人々に、その言葉は魅力的に響いたことだろう。
記事の後半では、ドローン仏がなぜ誕生したのか、阿弥陀来迎図との関係で、そのいきさつが語られます。グレゴリ青山さんのイラストもユーモラスな内容です。
浄土信仰が広まると、阿弥陀さ…