岸田文雄首相は31日の国会質疑で、政務秘書官を務める長男の翔太郎氏(32)が外遊時に公用車を用いて土産を買い、観光地を訪れたことを「公務」と明言した。土産は閣僚に向けたものだと説明。中身は高級ブランドのネクタイとみられる。翔太郎氏の行動には「公私混同」との見方もあり、政権内から批判の拡大を懸念する声が漏れる。

 首相は31日の衆院予算委員会で、翔太郎氏が英国の高級百貨店「ハロッズ」で購入した土産の用途などを立憲民主党の後藤祐一氏に問われ、「全大臣に買ったと承知している」と語った。「ポケットマネーで買った」と強調しつつ、中身や金額など「具体的な内容は控える」とした。

 後藤氏は「プライベートのお土産を買うことは、首相秘書官の公務か。公私混同ではないか」とも質問。首相は「政治家としての首相のお土産を購入するのは政務秘書官の本来業務に含まれうる」「公務だ」と明言した。

 この日の閣議後会見では、質問を受けた閣僚13人のうち、10人が土産を受け取ったと説明した。だが、いずれも土産の中身は「プライベートに関すること」などとして回答を避けた。河野太郎消費者相は「他の閣僚が何をいただいているかわかりませんから、私が何をと言うのはちょっと避けたい」。高市早苗経済安全保障担当相は「内容を言ったら、角が立っちゃうんじゃないでしょうか」と述べた。

 一方、ある閣僚の議員事務所では、外遊後の19日午後に首相の事務所に詰める秘書が訪れ、「岸田首相からこのたびの外遊のお土産です」と紙袋を手渡されたという。袋の中の箱には「内閣総理大臣 岸田文雄」の名刺が貼ってあり、イタリアの高級ブランド「ジョルジオ・アルマーニ」のネクタイが入っていた。別の閣僚も取材に、土産がネクタイだったと明らかにした。

 首相は1月9~15日にフランス、イタリア、英国、カナダ、米国を歴訪。このうち、現地時間の1月10日夕にロンドンに到着。11日にスナク首相と会談や視察などの日程をこなし、その日の夜には政府専用機で次の目的地であるカナダに向かった。時間的な制約や警備面からも、首相自身が土産を買う時間はなかったとみられる。

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